評価テストでありのままの自分を見つめ、本当の自分に出会う
「2010年版 New三丹田初級実験授業」レポート[後編]
[前編]に引き続き、「三丹田実験授業」の内容をお届けします。[後編]はご参加者に6名によるディスカッションです。
「三丹田実験授業」ディスカッションのご参加者
- 高岡英夫…運動科学総合研究所所長
- 樫村昇さん(男性)………ゆる体操正指導員
- 須賀諭一郎さん(男性)…会社員(建築業)・ゆる体操準指導員
- 徳田進也さん(男性)……予備校進路指導・極意武術協会会員・達人調整技術認定
- 明羽美姫さん(女性)……ミュージカル俳優・ゆる体操準指導員・主婦
- 江波戸佐枝さん(女性)…ゆる体操正指導員・Webデザイナー・主婦
- 松島雪子さん(女性)……ピアニスト・主婦
- 佐澤亨…運動科学総合研究所スタッフ
評価テストで自分と他者の状態を精確に観察する
高岡――皆さん、今日は参加されていかがでしたか?
須賀――今日トレーニングしたのは、たった一つの「○○○○体操」だけなのですけど、中身の緻密さは本当に凄かったです。
高岡――あまり自分で褒め過ぎちゃいけないのかもしれないんだけど(笑)、大変な工夫を施してあるんです、この体操は。この体操は、ゆる体操の中でも最も人気が高いものの一つで、TVで出演依頼があったときに必ずやって欲しいといわれるものなんだけど、まだゆる体操の真価をご存じない人は、お笑い番組向けの体操かよ(笑)って思ってしまうかもしれませんね。でもその背景にはじつに緻密で奥深い裏メカニズムが盛り込まれているのです。ことの最初から、センター、上・中・下丹田をきちんと見事に形成する効果と働きを盛り込んでデザインしてあるんです。
そしてじつは、センターをきちんと通していかないと、いま私たちが求めている本当の効果というのは出てこないものなんですよ。ただセンターや三丹田をトレーニングすると言ってしまうと難しく感じてしまう人も多いから、笑いながら、楽しく、面白く取り組めるようにしたのです。もちろん、健康、美容、心身のリラックスなどの効果は、バツグンといえるほどにあります。たとえば、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんや、どこのビジネスマンやOLが行っても、もちろんかなりの程度の効果が出るようになっています。ただ私がいまここで言っているのは、もっと専門的な効果のこと。この講座、授業で教えている内容というのは、専門的なものですから。だって、いきなり「地芯に乗って立ち上がるセンターに身を任せて、ニュートラルポジションで…」というメッセージから導入していくわけでしょう。さらに「腰が入っちゃってるね、切れちゃっているね」というように、身体についてどんどん専門的に指摘していくわけです。
センターと三丹田を誰でも楽しく面白く取り組めるようにした「○○○○体操」とは!?
この講座で私が指導するような裏メカを理解していただいてトレーニングをしていただくことで、そして三人一組でこのような専門的なワークを通していくことで、やっぱり今日の授業のようなまったく次元の異なった「とんでもない効果」が出てくるのです。
江波戸―すごく素晴しいと思ったのは、ここまで変われるということを一度体験してしまうと、まだ未開発の自分の可能性がすんなり信じられるので、トレーニングに対するモチベーションがすごく上がるということです。そういう意味で、今回の実験授業に参加できて本当に良かったなと思います。
高岡――そうおっしゃっていただけたのですから、今日皆さんに指導した内容をさらに洗練させて、講座に取り入れていきたいですね。8月10日に開催する「2010年版 New三丹田初級」から、私は今回皆さんにご協力いただいた実験授業の評価テストも取り入れようと思っているんです。
でもうまく取り入れないと、テストというのはマイナス面もあって、雰囲気がワークショップ、つまり実習の場になりづらい面もあるのです。文字を見て、しかも採点評価をして数字に置き換えていくということをしていかなくてはいけないでしょう。どうしてもそこの部分に気がとらわれやすいのです。自分自身のワークを高めていくことととは、頭の使い方が随分と違いますから。
たとえば極端な話になってしまいますけど、一所懸命になって歌を練習しているところに「すみません、ちょっとこの帳面を見て数字の間違いを指摘してください」と簿記をやらせたら、思わずガクッとくるじゃない(笑)。「やめてくれよな~」って。でも明らかに性質の異なる作業を組み合わせることによるデメリット面があるということは、やはり事実なのです。それをできるだけ最小限に抑えることが大事。今日の授業程度まで抑えられれば、十分実現可能ですね。
身体と意識をとことんゆるめていくには「笑い」は欠かせない要素だ
江波戸―この客観視して自分を見るという評価テストの訓練は、なかなか普段はできませんし、この部分については他の講座よりずっとやりやすい面もあると思いますから、「三丹田」ではぜひ取り入れてほしいですね。
高岡――そうなんです。なかなかここまでピッタリハマる講座は珍しいと思いますね。
トレーニングを重ねていくことによって、見る観点ができてくる
徳田――はじめは、正直いって評価テストを行う観点がよくわからない状態だったんです。でも、最後にもう一度あらためてテストをやったときに、それがトレーニングを重ねていったことによって、ハッキリと見る観点が自分の中でできているのに気が付く。「あっ、良くなっている」というのがハッキリ自分でもわかるんです。結果的に見る目が育ってくるという、そのプロセスそのものが非常に興味深いものでした。始めからこう見えないといけないというものではなくて、見方が徐々にわかってくるということ。そこが面白かったです。
高岡――それはね、とても大事なところなんです。つまり最初に見方がわからないうちから、細かい説明をくどくどとしていっちゃうと、なかなかワーク自体に入っていけないんです。ワーク自身に入っていけないと、こういう素晴しい効果も当然生まれてきません。簡単に言ったら、頭デッカチになってしまう。左脳ばっかり使ってしまうんですね。やっぱり評価をしなければいけないという観点を強く持ち過ぎちゃうと、うまくいかないんですね。
徳田――やはりこういうワークを通して、一環の流れとしてやっていくことが大事なんでしょうね。
松島――正直に白状すると、テストをしているときよりもトレーニングしている方がずっと楽しいのですが、このテストはトレーニングしているのとはまた別の方向で、大いなる効果がありますね。もしかしたら自分に対して避けたい衝動に駆られる可能性もあるのですが、「成長しているつもりになって、客観的には成長していない」という失敗を回避できるという意味では、上達に向けて非常に大きな足がかりになりますね。
評価テストは上達に応じて評価の目盛りを増やしてもいい
高岡――青春出版社から刊行されている身体意識について書かれた私の本が3冊ありますよね。『身体意識を鍛える』、『図解トレーニング 身体意識を鍛える』、『「軸」と「ハラ」を鍛えれば、必ず強くなる!』です。あの本の中には、今回のテストよりももっとたくさんの項目による評価テストがあるのですが、あの中で自分が必要だと感じるものをトレーニングしていくといいですよ。
そして1ヶ月、2ヶ月とある程度続けていくと、ある瞬間に「あれーっ!? 自分自身の尺度が変わってきているのかも」と思えたら、上達している証拠です。「あまり数値が変わらない気がするのに、どう考えてもパワーが全然違うよな」とか。だから一つの本は、最初は5段階評価にしておきながらも、もっと成長してきたら6、7、8、9、10という評価もOKにしておくんですよ。実際にどこまでも大きく成長していくのですから、人というのは。
そういうやり方も柔軟に取り入れていくといいですね。自分に合わせて評価の目盛りを増やしていってしまうわけです。一方、最高を5までだったら絶対に5に止めておくというやり方もあるし、状況に応じて使い分けていくことが大事です。皆さんは、このテストは正式な講座でやった方がいいと思う?
一同――(一斉に)はい、もちろんです!
高岡――皆さんには貴重なご意見をいただけたので、そのご意見に添えるよう精一杯努力させていただきます。
「皆さんの意見に取り入れて、ますます良いものにしていきますよ」と高岡英夫
佐澤――私も皆さんのトレーニングの状況を見させていただいて、個人的な意見を一つだけよろしいでしょうか。上丹田、中丹田、下丹田、それぞれがいい講座だと思うのですが、3つ揃ったときは全体として人そのものが輝くというのを感じました。3つまとめてトレーニングしていくとそれぞれの良さが共鳴するというか、人として良い状態になっているのを、今日の皆さんのトレーニング風景を拝見していて感じました。
高岡――そうだよね。事実としてそう感じるということですね。一方でいえば、本来人というのはこういうものなんだという気付きにつながる点、また自分に自信が持てるきっかけになるという点でも、3つまとめていっぺんにトレーニングすることは、やはり必要なんでしょうね。
またこのテストは、上丹田、中丹田、下丹田のそれぞれの講座でもやってあげるといいね。もっと項目を詳細にして、増やしたりして。あとチョットくだけて歴史上の人物の誰っぽくなってきたかとか指摘し合ったりすると、面白いかもしれない(笑)。
一つの体操で3つの丹田をまとめてトレーニングできる
高岡――それでは、皆さん一言ずつ今日の講座参加についてのまとめの感想を聞かせてもらえますか。
徳田――センターは普段から鍛えようという意識が強かったんですけど、丹田というのはどちらかというと捉えどころがない感じで、専門的な呼吸法で作ってあげていく傾向が強いことや、全部3ついっぺんにやるのはなかなか時間的にも厳しいこともあって、取り組むのに苦労していたのです。
しかし、この講座でご指導いただいた「○○○○体操」なら、3つの丹田をいっぺんにトレーニングできるし、逆に3つに分けて一つ一つトレーニングすることもできる。しかも効果も非常に高いですから、三丹田を鍛えるとっかかりとしては、ベストな方法だと思います。
やはり全体として3つの丹田を一緒にトレーニングしてから、足りないところを個別にやっていけば、自分の足りないところをきちんと把握した上で、効率よくトレーニングを進められますから。今日はそのような点で、三丹田の入門的な取り組み方を学べて大変ためになりました。
「三丹田トレーニングへのとっかかりとしてベストな方法」と徳田氏
高岡――まったく徳田君の言う通りなのです。大体皆さん、センターは普段から意識しているし、トレーニングもしていらっしゃる方が多い。センターなら立ったり、座ったり、道歩きながらでも、階段昇りながらでも、いつも意識しやすくて、取り組みやすい。
一方、丹田の場合は3つもあるし、しかもそれぞれに異なる重要な意味や役割があるから、取り組みづらい面もたしかにありますよね。だから、いま徳田君が言ってくれたことですが、3つの丹田をまとめてトレーニングできるように、私としては親切心のつもりで「○○○○体操」を作っておいたのです。
須賀――講座の最初にテストしたときと最後の方では、上丹田、中丹田、下丹田の強さが全然違っていたことに驚きました。最後の方では、まったく今までに自分が経験したことのないほど別人のように強くなっていました。しかも取り組むのに「○○○○体操」という一つの体操だけなので、毎日でもやれるし、効果も高い。本当にやりがいを得ましたね。
樫村――一緒に組んだパートナーの変化を見ているだけでも、自分も良い影響を受けるのがわかりました。体操をやることで効果が出るのは当然なのでしょうが、こうやってパートナー同士お互いに注意深く観察していくことで、自分自身を客観的に見る力がつくと同時に、トレーニングによって高められた意識同士が共鳴し合えることに感動しましたね。やっぱり一人だけでやるのとは別に、仲間と一緒にやるトレーニングも必要だなと思いました。
グループ内の仲間同士でお互いに観察しながらのサポート
今の段階でのパーフェクトな自分に出会えた
江波戸―今回の実験授業を受講して、三丹田をバランスよく形成することで、人間の本質力・根本力までアップすることができるとわかり、深く感動しました。
一つ一つのワークをこなしていくうちに、頭はスッキリとクリアになるし、胸は豊かであたたかくやる気で満たされるし、さらに腹がドシッとゆるぎないものとして安定してくるし、どんどん自分が変わっていくのを感じました。このような経験は初めてでしたし、嬉しい驚きの連続でしたね。
それと高岡先生のご指導のおかげだと思うのですが、ずっと立ってワークをしていたのにもかかわらず、まったく疲れを感じなかったんですよ。合間に寝ゆるをやったわけでもなかったし、普通ならずっと立ってワークを続けていたら足が重くなったきますよね。おそらくセンターをずっとキープしていたからだと思うのですが、そういうところがまったくなくて、最後、メンバーの前で立ったときにはもう完璧な自分のような感じでした(一同笑)。
三丹田の意識が高まることで、センターも明確になってきたんだと思います。実際、自分の中に太い軸があるようにも感じました。今の段階でのパーフェクトな自分に出会えて、とっても幸せです。今後の自分の課題も見つかったし、ますますトレーニングに励もうと決意しました。
高岡――評価テストはどうでした?
江波戸―面白かったです。メンバー同士で話し合うことで、場の雰囲気に活気が出て、和気あいあいと楽しく取り組めました。講座終了後、皆さんニコニコ顔でしたし、自信に満ちて、明るく、前向きな雰囲気でしたよね。こんなに大きな変化が起きるなんて、正直、想像以上の効果でした。初心者からベテランの方にまでお勧めできる素晴らしい内容だと思います。
松島――私もいろいろ課題が見つかったし、あと今回は少人数の中で参加できたので、そのことがとても幸運だったなと思います。この高まった身体と意識の状態は、普段の生活に戻ったときに元の自分まで戻ってしまうかもしれないのですが、ここまで高まった状態というのを1回経験しているわけですから、最低でもこのラインまで自分一人だけのトレーニングでも持っていけるように続けていきたいです。
すべては “身体に潜んでいる力”をどれだけ開発できるかにかかっている
明羽――私の場合は、ミュージカル俳優をやっているので、職業柄、目的意識が別にあってトレーニングすることが多かったんです。ゆるんだらもっとうまく踊れるとか、ゆるんだらもっと上手に歌えるとか、いつも違う方向に目線が行っていたのです。でも今回受講させていただいて、自分自身をもっと豊かにしていくことが、おおげさな言い方になってしまうのかもしれないのですが「生き方の本質」なのかなと思いました。今まではいつも何かにとらわれていたのかもしれませんね。
今日のトレーニングで行ったような「ドッシリしてるけど浮いている感じ」のような「身体から出てくる力」、「身体に与えられた力」というものが、自分の身体の中にこんなにあるなんて、初めて知りました。
“身体に潜んでいる力”を開発すれば、目的意識の囚われからも自由になる
高岡――それは良かったね、気が付いて(笑)。芸術をやっていらっしゃる方たちというのは、なかなかそこのところがつかみきれないことが多いのです。思うこと、感じること…のような、つまり「イマジネーション」の方向に行ってしまうんですよね。その力というのは、間違いなくあるのですが、それがそれ以上のものになれるかどうかというのは、この“身体に潜んでいる力”をどれだけ開発できるか、にかかってくるんですよ。
だからわかりやすいのは、音楽家ならとんでもない高い能力を持った天才的な演奏家と、そうでない普通の水準の演奏家が演奏すると何であんなに違うのか? じつは、それはこの違いなんです。
松島――私も学生のときにある曲を弾いていたときに「何でこんなに違うんだろう?」といろいろ考えたり、他の人にも尋ねたりはしていたのですが、結局はわからずじまいだったのです。「すべては違うから、違うんだ」というような乱暴な答えを聞かされたり(笑)。それを具体的にわからないと取り組めないじゃないですか。でも、ようやくその攻略の手がかりを見つけた、という感じですね。
高岡――そうですか、それは本当に良かったですね。これまで天与の才能とか天分とか生まれつきとかという言い方で片付けられてきたことが、じつはそうではなかった…という大変な事実が明らかになってきた。今まさに明羽さんや松島さん(そうして本日の実験授業に参加した全員)が「生き方の本質」「その攻略の手がかりを見つけた」と、感動をもって出会えたもの…それが“本当のあなた”つまりは生ける身体であり身体意識なんです。
それらは誰にも与えられて在るもの。その宝の蔵を自ら空けることのできる者を、古来、天才と呼んできただけのことなんです。宝の蔵は万人に与えられており、今日それを開ける“鍵”はすでに発見→発明されているんです。それが運動科学の理論とそれに基づき開発された運動科学メソッドなのです。
本日の実験授業で取り組んだ三丹田開発のための「○○○○体操」もそのメソッドの一つです。本番の講座ではさらに専門的な方法を含め、およそ3倍の内容のメソッドをトレーニングし、さらにさらに深い三丹田の体験をしていただけるよう、準備を進めたいと考えています。
<了>
2010年8月10日(火)9:30~14:00 大阪開催「2010年版 New三丹田初級」
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電話 03-3817-0390(電話受付:10時~18時 日曜・木曜定休)
ファクス 03-3817-7724
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